アラサー男 30にして志を立てる

真面目に不真面目なことを考えるのってなんでこんな楽しいんだろう。

チャレンジングな状況だが腹を括ってやりきるしかない

ペペは机の上の資料を見ながら頭を抱えている。

今度の会議で、マネジメントに新規事業の経営計画を出さなければならない。
しかしながら、状況は芳しくない。問題は山積みだ。
「どうしてこんなことになっているんだ…」

 

ペペが勤めるのは国内の金融サービス会社で、所謂、ベンチャー系の伸び盛りの企業。
今度、アジアに初の海外支店を出すことになり、
ペペが海外進出プロジェクトの責任者に抜擢された。

だが、抜擢人事にも関わらず、当のペペの表情は冴えない。
「これは大変なことになったぞ…」

 

元々、海外アジア事業部については社内でも所謂「海外通」と称される
数人のベテラン社員達が担当していた。

部署自体の歴史も浅い。
以前は国内一辺倒だった会社が、更なる成長の為に海外進出を打ち出し、
鳴り物入りで事業部が新設されたのは、ほんの5年前の話だ。

しかし、過去5年間の業績は芳しくない。
当初計画されていた売上の30%しか達成できていない状況だ。

そんな状況に業を煮やしたCEOが、状況を打破すべく海外支店設立計画を打ち出した。
そこで白羽の矢が立ったのが、入社年次は浅いものの、
海外大学院を卒業して、他の部署で働いていたペペである。

 

「確かに、実績だけを見ればひどい状況だ…でも、何が問題なんだろう? 」
ペペははまず、正確な現状を理解するために関係各所へインタビューを行った。
そこで浮かび上がってきた問題点は以下の通りである。

事業部の人達は頑張っているが、如何せんビジョン・戦略、そして計画性が無い。行き当たりばったりで頑張りが空回りしている。

・ベテラン社員であり、今まで自分たちが会社を盛り立ててきた自負もあって、プライドが高い。部署内でのコミュニケーションも少なく、皆が皆、自分の思う通りにしか動いていないし、周りも遠慮して問題点を指摘しあっていない。

・業績が芳しくなくなって以来、全ての報告が「マネジメントにどう釈明するか」になってしまっており、報告に将来のビジョンと自主性が無い。マネジメントとの適切なコミュニケーションが成立しておらず、言い訳の為だけの会議になってしまっている。

・そんな彼らに対するマネジメントからの評価は低い。ベテラン社員であり、会社の創成期を支えてきたなの人達なので情があり悪い扱いはしていないが、彼らに任せていても事態は好転しないだろうと思っている。

 

上記にある通り、これから解決しなければいけない問題は山積み。
そんな中、マネジメントがペペに求めているのは、実質的には事業部の再生である。

週末に迫った今後の方針を決めるマネジメントとの会議に向けて
資料作りをすべく、ペペはまたパソコンに向かった…

 

1.MBAのケースに出てきそうなベタな話だけど実際は大変

少し前から、海外支社設立に向けて動いていますが、
問題山積みで頭を抱えているペペです。

はたから見たら、MBAのケースに出てきそうな典型的な話だなぁと思って
ケース仕立てにして書いてみました。
※当然ですが、細部は結構フェイクを入れてます

ただ、チャレンジングではあるものの、
面白い機会を頂いたなぁとは思っておりまして
この問題を上手く解決出来たら良い経験になると前向きに頑張ってます。

 

こういう事業部の再生的な話については、経営学的には、
下記のようにするのが正しいと言われてます。

1、まずは現状認識。問題点を正しく理解する。
2、問題点を踏まえた、新しいビジョンと戦略を提起する。
3、組織のベクトルを新しいビジョンに向けて揃える。

机上の理論では分かっていたつもりなのですが、
いざ当事者としてやってみると、やっぱり大変だなぁというのが実感。

 

2.人は失敗を認めたがらないし、簡単には変われない

一番の問題点は、既存のベテラン達をどうやって
新しい方向に向けて動かしていくかです。

向こうから見たら、私なんて単なる若造ですし、
素直に言う事を聞いてくれるわけがない。

そして、彼らにはこれまで頑張ってきた自負もあるし、
そうそう簡単には事業なんて立ち上がらないだろうという思いもある。

そんな彼らの難しい状況と気持ちも理解できるだけに、立ち回りが難しい…

 

なので、彼らの顔もちゃんと立てつつ、部のベクトルを新しい方向性に向けて
揃えて行かなければならない。 

これを役職的に一番下っ端の立場でやれと言うのだから、
結構な無茶ぶりだよなーと正直思ってたり…

 

どうすれば良いのかなぁと色々と考えていたのですが、
やっぱり最後は泥臭さと人間力の勝負なのかなぁと言う結論に至りました。

多分、どんなに良いビジョンと戦略を示しても、彼らは頭では理解してくれても、
最初から、ちゃんと腹落ちして動いてくれることは絶対に無い。

だから、上から「こうするべきなんです!」という風に計画を押し付けるんじゃなくて、私が信じる道を泥臭く実践して見せつつ、しっかりとコミュニケーションを取ってお互いに納得できるビジョンと戦略を、一緒になって作っていくのが一番良いのかなと。

 

ロジックと感情のバランスとでも言いましょうか。
まさに、山本五十六さんの言葉通りで『やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ』なのかなと。

 

3.こちらも手探り。でもとりあえずやってみる

こんな偉そうなことを書きながらも、
私自身、唯一無二の正しい正解をまだ持っているわけではないので、
まずは手探りで試行錯誤しながら進めていっているのが現実です。

でも現状として、マネジメントや部内でのコミュニケーション問題、
戦略や日々の業務に対するPDCAサイクルの欠如等、
当たり前の事が当たり前に出来ていないので、まずはここを是正しつつ
しっかりとあるべき姿を描いて実践していく事が肝要なのかなと思ってます。

また、自分の立場を正当化していくためにも、
そして適切なコミュニケーションを取る為にも
マネジメントとの窓口は私がやることは極めて重要。 

まだまだ前途は多難ですが、任された以上はやるしかない。

 

出来れば、For meではなくFor you、そしてFor the companyの視点を常に持って、
「自分の為に」という個人のエゴの無いリーダーシップを作っていきたいなぁと。

  

まぁ最悪の最悪で、私自身が結果を出せずにクビになったとしても、
こういう難しい状況を経験したというのは将来のキャリアにプラスだと信じてます。

なので、結果が出せなかったその時は、潔く身を引いて、
次の転職先に行けばいいんだぐらいの気持ちも一方に持ちつつ
このチャレンジングな状況を楽しめればいいかなぁと。

 

2016年は、良い成長の機会を頂いたと思って、
腹を括って頑張っていきたい。